娘が3歳の冬、お風呂に入れているときにふと気づきました。
お股付近が、ぽっこりと膨らんでいる…。
「あれ?」と思ったものの、その時はすぐに検索することもなく様子を見ていました。
ところが同じ時期に、お風呂に入れていた夫も同じ場所の膨らみに気づき、「これ、なんだろうね」と話に。気になって夫婦でネットで見たままの症状を検索してみると、出てきたのが「鼠径ヘルニア」という病名でした。
「あ、これだ…」
画像も症状の説明も、まさに娘の様子とぴったり一致していました。
小児では珍しくなく、よくある手術とはいわれる鼠径ヘルニア。
それでも実際に我が子のこととなると、
「4歳で手術なんて大丈夫?」
「付き添い入院って親は何をするの?」
「手術当日はどんな様子なの?」
「費用はどれくらいかかるの?」
我が家も、手術日が近づくにつれて不安でいっぱいでした。
この記事では、4歳娘が鼠径ヘルニアの手術で2泊3日の付き添い入院をした実体験をもとに、入院から退院までの流れ、持って行ってよかったもの、親の食事や睡眠、気になる費用、退院後の様子まで詳しく紹介します。
同じように、お子さんの鼠径ヘルニアの手術や付き添い入院を控えている方の参考になれば嬉しいです。
※この記事は我が家の体験談です。症状や入院期間、治療内容、費用などは病院やお子さんの状態によって異なります。
鼠径ヘルニアとは?症状と一般的な治療の流れ
鼠径ヘルニアは、股のつけ根あたりの筋肉のすき間から、腸の一部などが飛び出してしまう状態のことです。
お腹の中の臓器を包んでいる膜が、生まれつき完全に閉じきらずに袋状に残ってしまうことが主な原因とされていて、生まれつきの体の構造によるものが多いといわれています。
小児科・小児外科領域では決して珍しい病気ではなく、特に男の子に多いとされていますが、女の子にも起こります。実際、我が家の娘も女の子でした。
主な症状は、我が家のように「股のつけ根がぽっこり膨らむ」というものです。
泣いたり、力んだり、立ち上がったりしたときに膨らみが目立ちやすく、逆に横になってリラックスしているときは目立たなくなることもあります。
痛みを伴わないことも多いため、お風呂やおむつ替え、着替えのタイミングで偶然気づく方が多いようです。
自然に治ることはほとんどなく、基本的には手術での治療が必要になります。
手術方法としては、飛び出してしまった部分を元の位置に戻し、すき間になっている部分を糸で縫い縮める、という比較的シンプルな内容が一般的です。
全身麻酔で行われることが多く、入院期間も1泊〜2泊程度で済むケースが多いようです。
ただし、緊急性の高いケース(腸が締め付けられてしまう「嵌頓(かんとん)」という状態)を除けば、多くの場合はスケジュールを組んで計画的に日を決めて入院・手術を行う形になります。
膨らみが急に大きくなった、押しても元に戻らない、強く痛がるといった場合は緊急性が高いサインの可能性もあるので、様子がおかしいと感じたらすぐに医療機関を受診してください。
気になる膨らみを見つけたら、まずは小児科や小児外科で相談してみることをおすすめします。
手術前に不安だったこと|咳の症状と麻酔のリスク
手術が決まってから当日までの間、実はヒヤヒヤしていたことがあります。それが「咳」でした。
入院の1ヶ月ほど前から娘に咳の症状が出ていて、かかりつけの耳鼻科に相談してお薬を処方してもらっていました。
少しずつ良くなってはいたものの、なかなかすっきり治りきらず、入院当日が近づいても咳が完全には収まっていない状態…。
「これで手術を受けられるのだろうか」というのが、直前まで一番の不安でした。
せっかく決まった手術日が延期になってしまったら、娘の心の準備も、こちらの仕事の調整も、一からやり直しになってしまいます。
そう思うと、毎晩娘の咳の様子を確認しては、一喜一憂する日々が続きました。
入院前には感染症の検査があり、咳の状態についても病院側の各担当に事前共有した上で、実施可否を確認してもらいました。
さらに麻酔科の先生からは、咳の症状が強い場合に麻酔でどんなリスクが考えられるかについて、事前にきちんと説明がありました。
全身麻酔は気道の状態が影響しやすく、咳や痰が多い状態だと、麻酔中や麻酔からの覚醒時に気道が刺激されやすくなったり、呼吸のトラブルにつながるリスクがあったりするのだと、このとき初めて詳しく知りました。
結果的に娘は延期なく手術を受けることができましたが、体調管理はぎりぎりまで気が抜けないものだと実感しました。
もし同じように手術前に咳や鼻水などの症状がある場合は、自己判断で「大丈夫だろう」と思い込まず、早めにかかりつけ医と病院側の両方に相談しておくと安心です。

我が家はかかりつけ医には手術日を伝えたうえで、咳の症状をなんとかしたいと相談していました。
入院日から退院日までのスケジュール

実際の2泊3日のスケジュールはこのような流れでした。
- 1日目 13時:病院到着/15時:病室へ/18時:夕食/22時:就寝
- 2日目 8時半:手術開始/18時:夕食
- 3日目 7時:朝食/11時:退院
①少しドキドキしている様子の入院日の1日目
13時、まずは病棟へ向かう前に事務手続きがありました。
慣れない書類のやり取りに緊張しながら待っていると、娘は病院内の様子を珍しそうにキョロキョロと見回してはいつつも、こちらの緊張とは裏腹に案外落ち着いている様子でした。
病棟へ向かってからは、病室へ案内される前に感染症のチェックを受けました。
前述の通り咳の症状があったため、この時間は正直かなり緊張していました。
「ここでダメと言われたらどうしよう」という思いで、看護師さんの一言一言に耳をすませていたのを覚えています。
案内されたお部屋は4床室の窓側の部屋でした。
カーテンの向こうにどんな子がいるのかは分かりませんでしたが、4歳くらいのはっきり会話ができる年齢の子はいない様子でした。
同室の子の物音が聞こえるたびに、娘も少し気にする様子を見せていました。
夜ご飯は出されたものをぺろりと完食。
就寝前には看護師さんが説明にきて、これから絶食になることを伝えられました。
娘もその説明を理解していたので、対応に困ることはありませんでした。
出発前にお風呂は済ませていたので、1日目は歯磨きをして就寝しました。
親としては「明日は大丈夫かな」という不安を抱えながらの一晩でした。
慣れないベッドの中で何度も目が覚め、隣で眠る娘の呼吸の音を確認しては安心する、というのを繰り返していました。
②放心した様子の手術日の2日目
6時ころに起床。
6時半から水分摂取が禁止されるので、起きてすぐにお水を飲ませました。
手術は8時半からで、その前に浣腸をして腸の中を空にする必要がありました。
お尻を出すこと自体が恥ずかしい中、浣腸をし、急な予期せぬ便意でパンツを汚してしまう娘。
トイトレはすでに完璧に済んでいたため、汚してしまったことにかなりショックを受けている様子でした。
「大丈夫だよ、病院だから仕方ないよ」と声をかけながらも、こちらまで胸が締めつけられるような気持ちになりました。
娘はそんなメンタルのまま、手術室へ向かうことになりました。
普段は入れない手術室という空間に「おー!」と感心しつつも、娘の様子が気がかりでたまりませんでした。

さきほどの出来事に少し元気がわかない状況でした…
手術室に入ってからはさっそく麻酔です。
子どもが嗅ぎやすいようにとさつまいものを選ばせてもらいました。
麻酔がかかる瞬間、ぐわんぐわんと暴れるような動きに驚きながら、やがて動きが落ち着いて完全に眠った後、私は手術室をあとにしました。

正常な意識ではそんな動きはしないと思うような揺れ方と力の抜け方で、
医師の方も支えていましたが一人では支えられないくらいの動きした。
手術は1時間ほどとのことだったので、朝ご飯と昼ご飯の調達に院内コンビニへ。
その後は落ち着かず、YouTubeを見て時間をつぶしていました。
予定の時間を少し過ぎた頃、廊下から娘の大きな声が聞こえてきました。
「いたいー!いたいー!」
ベッドに戻ってきた娘は、目は開いているものの虚ろな様子で、それでも痛みを訴え続けていました。
先生からその場で手術の説明がありましたが、目の前で泣き叫ぶ娘の姿に、正直まったく話に集中できませんでした。
「この状態は普通なの?どうしたらいいの?」とパニックになりそうな気持ちを、必死に抑えていたのを覚えています。
しばらくして、ひっくひっくと泣きながら再び眠りに落ちた娘を見て安心しつつも、心が重くなった時間でした。
お昼を少し過ぎた頃に目を覚ました娘は、大声こそ出さないものの「痛いよう」と訴えていました。
ほぼ同じタイミングで看護師さんが飲食可能かの確認に来てくれ、買っておいたポカリを飲ませるととても美味しそうにしていました。
買っておいて本当によかったです。
お腹の下を切っているためそこが痛むようで、夕方トイレに行くのに歩くのもしんどそうな様子。
夕食前には担当の先生たちが様子を見に来てくれて、ここでようやく落ち着いて手術の説明を聞くことができました。
この日は、朝から晩まで感情が大きく揺れ動いた、一番長く感じた1日でした。
夕食はおなかが減っていたのか、普段の娘はあまり好きそうなメニューではありませんでしたがしっかり完食しました。
看護師さんからもコンビニで買っていたプリンも食べれるならいいよと言われていたので、デザートまで食べきりました。
③動きがゆっくりな退院日の3日目
退院まではあっさりとしたものでした。
11時退院予定で、9時過ぎにに手術を担当してくれた先生が続々と様子を確認しに来てくれました。
本人はというと、前日の激しい痛がりようが嘘のように、朝には落ち着いた表情を見せていてほっとしました。
ちょうど1週間後の外来を予約し、事務手続きをして、特に見送りなどもなく帰宅となりました。
鼠径ヘルニアの付き添い入院に必要だった持ち物
持って行ってよかったもの
入院前の手続きの際に、持ち物リストの案内がありました。
基本的にはそれに沿って準備すれば問題ありませんが、実際に持って行って「よかった」と感じたものを紹介します。
- DVD:特におすすめだったのが「トムとジェリー」。大きな音でテレビをつけづらい環境なので、動きだけで内容が伝わりやすいアニメーションが◎でした。
- スケッチブックと色鉛筆:手術前後の待ち時間に、静かに過ごせる遊びとして役立ちました。
- 絵本:「ミッケ」は大正解でした。じっくり探す絵本は、ベッドの上でも夢中になれます。
- ワイヤレスイヤホン:同室の子への配慮としても必須アイテムでした。
- 汗拭きシート:お風呂に入れない期間の身体拭きに重宝しました。
- 小銭:病棟に自動販売機が設置されていることがあります。
- ブランケット:しんどそうなときに、薄手のお気に入りのブランケットがあると安心していました。
持っていくべきだったと思ったもの
- 子供の下着の替えを多めに:下着を汚してしまう可能性をあまり考えていませんでした。トイトレが完了している子ほど、逆に多めに持って行くと安心かもしれません。
- サンダル:スニーカーで過ごしていましたが、病室内での移動はサンダルの方が気軽だったと感じました。
心の準備として持っておきたかったもの
物ではありませんが、今振り返ると「持っておいてよかった」と思う心構えも2つあります。
1つは、手術後にパニックにならないための心の準備です。
麻酔から覚めた直後の子どもは、激しく泣いたり、痛みを強く訴えたりすることがあると事前に聞いてはいたものの、実際に目の当たりにすると想像以上に動揺してしまいました。
「これは麻酔が切れる過程でよくあることなんだ」と事前に頭に入れておくだけでも、心構えはだいぶ違ったと思います。
もう1つは、体調不良があるときの相談先を明確にしておくことです。
咳の症状が長引いていた我が家は、かかりつけの耳鼻科と病院の両方に早めに状況を伝えていたことで、直前になって慌てずに済みました。
手術予定日が近づいてきたら、少しでも気になる症状があれば早めに相談しておくと安心です。
親の睡眠や食事はどうする?洗濯問題は?
親の食事問題について
結論から言うと、すべてコンビニで済ませました。
初日に病棟へ上がる前と、娘の手術中の時間を使って買い出しを済ませ、冷蔵庫に入れておきました。
しかし、2日目の夜あたりからさすがにコンビニ食が続くのがしんどくなってきました。
同じような味付けのものばかりになってしまい、正直食欲もあまり湧きませんでした。1日目の夜くらいは、自分で作ったおにぎりなどを持ち込んでもよかったなと思います。
親はやはりなかなか寝れない…?
結論から言うと、あまり寝られませんでした。
ベッドも狭く、気も遣います。
特に2日目の夜は、術後のお腹を万が一にでも蹴ってしまったらどうしようかと気が気ではありませんでした。
娘が寝返りを打つたびに目が覚め、結局ほとんど眠れないまま朝を迎えました。
2泊以上する場合は、病院に備え付けの簡易ベッドの利用をおすすめします。
洗濯物はどう扱う?
今回の2泊3日の入院では、洗濯機を利用する場面はありませんでした。
子どもは病衣に着替えますし、退院時も着てきた服のまま帰宅できました。

ヘルニアの手術は前開きの服を着た状態での手術になります。
私はレンタルの病衣にしましたが、ご自身での用意の場合は洗濯の可能性は高まりますよね。
私はレンタルにしたこともあり、荷物としてはそこまで多くならなかったのも助かったポイントです。
季節も秋だったので私の着替えは2通りでした。
気になる費用はいくらかかった?
手術・入院にかかる費用は気になる方も多いと思うので、我が家の実例を紹介します。
自己負担額は7万円台でした。
ただし、この金額はそのまま負担したわけではなく、お住まいの自治体の子ども医療費助成制度を利用し、全額を還付申請しています。
窓口で一旦支払いをして、後日申請をして戻ってくるという流れです。入院当日はお支払いなく、後日請求書が届くと説明がありましたのでまとまった金額を準備して持っていく必要はありませんでした。

支払いに関しての流れは入院前に確認が必要です。
医療機関により異なると思います。
制度の内容や還付の仕組みはお住まいの自治体によって異なるため、詳しくは事前にお住まいの市区町村の窓口やホームページで確認しておくと安心です。
また入院前に「高額療養費制度」や「子ども医療証」の対象になるかどうかを病院の医事課に聞いておくと、当日の会計時に慌てずに済みます。

保険者、市町村によって制度と還付の流れが違います。
このあたりは前もってでもいいですが、金額によるところもあるので
請求金額が確定したころに確認でも遅くないと思います。
退院後の様子
今回、子どもの付き添い入院についての体験談を紹介しました。
非日常な環境で、親も子も大変疲れました。
私自身は退院から2日後に発熱してしまいました。
知らないうちに疲労が溜まっていたようです。
気を張っていた分、緊張の糸が切れたタイミングで一気に体調を崩したのだと思います。
子どもは退院後、2日間は保育園をお休みしました。
お腹に傷がある状態なので、鉄棒以外は特に問題ないと言われましたが、なんとなく休ませてあげたいと思ったのが本音です。
数日は心なしか空元気な様子だったので、仕事の休みを取っておいて本当によかったと思いました。
よくある質問(Q&A)
Q1. 鼠径ヘルニアは自然に治りますか?
基本的に自然治癒は期待できず、多くの場合は手術での治療が必要とされています。気になる膨らみに気づいたら、まずは小児科や小児外科に相談してみましょう。
Q2. 手術は何歳くらいで受けることが多いですか?
症状に気づいた時期や病院の判断によって幅がありますが、乳幼児期から未就学児のうちに手術を受けるケースは珍しくありません。我が家は4歳での手術でした。
Q3. 手術前に風邪気味でも手術は受けられますか?
症状の程度によります。我が家も咳の症状が長引いていましたが、事前に耳鼻科と病院の両方に相談し、麻酔科の判断のもとで手術を受けることができました。気になる症状がある場合は、早めに病院へ相談するのが安心です。
Q4. 付き添い入院では親は何をすればいいですか?
基本的には子どものそばに付き添い、食事や排泄、体調の変化を見守る形になります。洗濯や大がかりな準備が必要になる場面は少なく、コンビニなどを活用しながら過ごすことも可能です。
Q5. 費用はどれくらいかかりますか?
病院や治療内容によって差はありますが、我が家の場合自己負担額は7万円台で、子ども医療費助成制度を利用して全額還付を受けました。お住まいの自治体の制度を事前に確認しておくことをおすすめします。
Q6. 麻酔から覚めた後、子どもが泣き叫ぶのは普通ですか?
個人差はありますが、麻酔の覚醒時に一時的に混乱したような様子で泣いたり痛みを強く訴えたりすることはあるようです。事前に病院からも説明がありましたが、実際に目の当たりにすると親としてはかなり動揺しました。心構えとして知っておくと、いざというときに落ち着いて対応しやすいかもしれません。
Q7. 入院中、親の食事や睡眠はどう工夫すればいいですか?
我が家はすべてコンビニで済ませましたが、2日目以降は正直きつくなってきました。初日だけでも手作りのおにぎりなどを準備しておくと、体力的にも助かると思います。睡眠についても、備え付けの簡易ベッドがあれば積極的に活用することをおすすめします。
同じように鼠径ヘルニアの手術・入院を控えているご家庭の、少しでも不安の解消につながれば嬉しいです。



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